約100年にわたり所在不明だったクロード・モネの絵画をめぐる実話に着想を得た映画『モネ 時の海を渡った絵』が、2027年10月15日に全国公開されることが決定した。俳優の林遣都と上白石萌音が共演し、国立西洋美術館の礎となった「松方コレクション」に秘められた歴史と、そこから現代の若者へ受け継がれる思いを描く
物語の発端となるのは、2016年にフランスで発見されたモネの「睡蓮」連作の一枚。実業家の松方幸次郎がモネから譲り受け、その後長らく行方が分からなくなっていた作品で、修復を経て現在は国立西洋美術館に所蔵されている
舞台は、絵が発見された2016年の神戸。造船所で働く青年・園部龍(そのべ・りゅう)は、生真面目な働きぶりから若くして主任を任される一方、かつて思い描いた夢をかなえられないまま、淡々と日々を過ごしていた
ある日、園部は造船所の先輩にあたる老人・豊島から、一枚の古びた写真を手渡される。何が写っているのかも判然としないその写真は、造船所の初代社長・松方幸次郎から豊島へ託されたものだった。園部は豊島の孫・杉山華子(すぎやま・はなこ)とともに写真の謎を追ううち、モネの絵がたどった数奇な運命と、松方が美術品に託した願いに近づいていく
本作の主人公・園部役を演じる林は、「船を眺めるのが昔から好きでした」と明かし、役作りのため川崎重工神戸工場を見学した際には「想像以上のスケールの大きさに圧倒されました」と振り返る
作品については「想いを“未来につなげていく”ということがこの作品のテーマだと感じました」と説明。「たくさんの方の情熱が詰まっているので、しっかりとその想いを届け、皆さんの心にも残るように僕も心を込めました」とコメントした
園部と出会い、少しずつ心を通わせていくヒロイン、華子役を演じる上白石は、国立西洋美術館で2025年に開催された「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」でアンバサダーを務めたことがある。上白石は「私はモネの絵が大好きで、劇中のせりふにもたくさんの共感があります。実際に『松方コレクション展』にも行ったことがあるので、今回のご縁がとてもうれしいです」と出演への思いを語った
林とは今回が初共演。「落ち着く空気で、どんどん心がほぐされるような感覚でした」と印象を明かし、ロケ地となった神戸についても「街並みも、空気も、地元の方々も素敵で、ずっといたいと思える場所でした」と振り返っている。 監督は、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』などを手がけた安達もじり。脚本を、連続テレビ小説『舞いあがれ!』の桑原亮子が担当する。東映と神戸を拠点とする映像制作会社ミナトスタジオが製作し、創立130周年を迎えた川崎重工が特別協賛。川崎重工神戸工場でも撮影が行われた
安達監督は、本作を「1枚の絵をめぐる『思いのバトンリレー』」と表現。「少し生きづらくて、ちょっとしんどくて……そんな毎日を過ごしていた主人公たちが、この絵の存在を知り、絵にまつわる思いを知り、自分なりに受け取ることで小さな一歩を踏み出していく」と説明した
さらに、林と上白石について「繊細に、あたたかく、切なく、優しく表現してくださいました」と語り、「大勢の人の思いを積み荷のように載せた『船』のような作品です。この『思いのバトン』が今を生きる皆さんの心に届くことを願っています」と呼びかけている