自身の声を生成人工知能(AI)で無断で模倣した動画を投稿されたとして、声優の津田健次郎さん(55)が動画共有アプリ「TikTok」(ティックトック)の運営会社に動画の削除を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であり、高橋彩裁判長は「人の声は肖像と同様に個人の人格の象徴だ」との判断を示した。人の声がパブリシティー権で保護されると明示した司法判断は初。一方、動画はすでに削除されているとして、請求は退けた
高橋裁判長は判決理由で、声が持つ「顧客吸引力」の利用を目的とした無断使用は「パブリシティー権の侵害に当たると解するのが相当」との見解を示した
津田さんの代理人の平野敬弁護士は、訴訟の過程で動画が削除されたことから、「当初の目的は達成した」と説明。判決が声の権利保護に言及した点を評価し、今後類似の事件が起きた場合には「実態的審理に踏み込めると思う」と述べた
訴状などによると、氏名不詳の発信者により動画が投稿され始めたのは令和6年7月ごろ。都市伝説やオカルトをテーマにした動画に、生成AIで津田さんの声を無断模倣したナレーションを付けていた。発信者は動画投稿で月50~75万円の収益を得ていたという
津田さん側は、津田さんの声に似せたナレーションで視聴者を引き付けたことがパブリシティー権の侵害や不正競争防止法違反にあたると主張。被告側は、普遍的な男性の声であり、発信者は「友人の声を学習させて作った」と説明していたと反論。動画がすでにアカウントごと削除されていることから、訴えの理由がないとして請求棄却を求めていた