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1: アセム雨宮◆UD16NvPYxY
2025-09-10 08:48:52 OMPVG0082

 まるでホラー映画の舞台のような話だが、英国に実在する島が、その不気味な光景で人々を震撼させている。「監獄船」で命を落とした囚人たちの遺骨が、200年の時を経て泥の中から次々と姿を現しているというのだ。

 その名は「デッドマンズ・アイランド(死者の島)」。英ロンドンからほど近いケント州の沖合に浮かぶこの島は、一般人の立ち入りが固く禁じられている禁断の地である。

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2: アセム雨宮◆UD16NvPYxY
2025-09-10 08:49:11 OMPVG0082

デッドマンズ・アイランドが訪問者を拒む表向きの理由は、繁殖期に数多くの鳥たちが営巣する貴重な自然保護区であるためだ。この島は「特に科学的に重要な場所」として国際的にも認定されており、自然環境の保護が最優先されている。

 しかし、この島を訪れる者がいないもう一つの理由は、そのあまりにも不気味な光景にあるのかもしれない。島に存在する人の痕跡は、朽ち果てた木製の棺桶と、そこから散らばる無数の人骨だけだ。かつては泥の奥深くに埋葬されていた遺体が、長年の海岸浸食によって地表に露出し、島全体が墓場のようになっているのである。


 2017年、英BBCの番組取材班が特別に上陸を許可された際、その光景を目の当たりにしたディレクターは「まるでホラー映画のセットのようだ。超現実的で、美術部門がデザインしたかのよう。開かれた棺と骨が至る所に転がっている」と語った。干潮時にはそのおぞましい光景が広がることから、島の周囲の海は「棺桶湾(Coffin Bay)」という不吉な名で呼ばれている。

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3: アセム雨宮◆UD16NvPYxY
2025-09-10 08:49:34 OMPVG0082

「死者の島」という名とその異様な雰囲気は、地元で恐ろしい民間伝承を生み出した。「血のように赤い目をした怪物が、埋葬された者の頭蓋骨を喰らう」「夜になると島から遠吠えが聞こえる」といった噂が、この地の不気味さを一層引き立てている。

 しかし、デッドマンズ・アイランドに秘められた真実は、伝説よりも遥かに悲しい物語である。

 18世紀から19世紀にかけて、英国では退役した軍艦を改造した「監獄船(prison hulks)」が水上刑務所として使用されていた。スリなどの比較的軽い罪で捕まった10代の少年を含む多くの囚人たちが、オーストラリアへの流刑を待つ間、これらの船に収容されていたのである。

 船内は劣悪な環境で、伝染病が猛威を振るった。特にコレラのような病気が発生すると、密集した船内であっという間に広がり、多くの命が失われた。オーストラリアへの長い航海に耐えられないと判断された病人や衰弱した者たちは、この暗い船倉の中で見捨てられ、次々と息絶えていったのだ。

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4: アセム雨宮◆UD16NvPYxY
2025-09-10 08:49:57 OMPVG0082

こうして監獄船で亡くなった囚人たちの遺体は、伝染病の拡大を防ぐため、近くのデッドマンズ・アイランドに埋葬された。名前も記されない無縁仏として、彼らはこの孤島に打ち捨てられたのだ。

 200年の時が経ち、容赦ない海の浸食が忘れ去られていた悲劇の歴史を再び白日の下に晒した。今もなお、打ち寄せる波は島の土を削り、名もなき囚人たちの骨を海へと散らばらせている。保存の専門家たちはこの歴史的遺産をどう守るべきか頭を悩ませているが、彼らのための慰霊碑は、この島には一つもない。

 満ち引きする波だけが、忘れ去られた魂たちの唯一の墓守なのかもしれない。

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