事の発端は、フィヨルド内で発生した大規模な地滑りだ。これにより高さ200メートル(約650フィート)にも及ぶ「メガ津波」が発生した。
通常の津波であれば、エネルギーは海へと拡散して消えていく。しかし、ここはフィヨルドという特殊な地形。切り立った崖と氷に閉ざされた、いわば「水の密室」である。
行き場を失った巨大な波は、フィヨルドの壁に激突しては跳ね返り、また反対側の壁へと向かう。お風呂のお湯を揺らすと波が左右に行ったり来たりする現象、これを専門用語で「静振(セイシュ)」と呼ぶが、今回はそのスケールが桁外れだった。
この行ったり来たりの往復運動が、なんと9日間も続いたのだ。そのエネルギーが地面を叩き続け、90秒ごとの「地球の鐘の音」として世界中に響き渡ったのである