前を歩く白い傘の人との距離が3mくらいになって、
なんとなくこれ以上近づきたくなかったし、追い抜く気にもなれなかったので、
だいぶ早いけどあの路地曲がるかーと思っていると、その人がその路地を曲がっていった。
よかった!って気持ちもあったが、何もされてないのに勝手に想像してごめんなさいって気持ちもあったので、
その人の後ろ姿に向かって軽くお辞儀をした。
その瞬間、その人がなにか言ってるのが聞こえた。
えって思ったけど、こっち向いてないし独り言だと思うことにした。
そのまま歩いて、次の路地を横切ろうとして、なんとなく右を見た。
見慣れた住宅街が見えた。白い傘をさして歩く人も見えた。
...もっと見るありきたりに背筋がぞっとしたとしか言えないけれど、嫌な感じがした。
だってさっきまでは、
こっちがゆっくり歩いていても距離が近づくくらい、あの人はものすごくゆっくり歩いていたはず。
でも今は、どちらかと言えば早足。いつもよりほんの少し大股で歩いてる。
なのに相手も、一本奥の道を平行して歩いてる。
なにか嫌な感じがして、それを振り払おうと、
偶然か、それともこっちを意識して歩く速度を変えて遊んでいる障害者かなにかだろう、と思うことにした。
でも、何度路地を横切っても、白い傘を差した人が一本奥の道を歩いてる。
見えないところで歩く速度を早くしたり遅くしたりしても、自分が横切るときに向こうの人も横切っていく。
すごく怖くなって、脇目もふらず大通りまで走った。
頭の中では自分に向かって、
これはただ雨が少し強くなってきたから、濡れたくないから走ってるだけって言い聞かせた。
大通りまで出ると、さすがに数台の車が走っていて、すこしホッとした