もう一つ、より根の深い理由として挙げられるのが「時間のずれ」だ。
2021年に査読付き学術誌『Galaxies』で発表された研究では、銀河のシミュレーションモデルを用いて、文明がいつ生まれ、いつ滅びるのかが検討された。
そこから浮かび上がるのは、二つの文明が出会うためには、広大な宇宙の中で「場所」だけでなく「時間」までも重ならなければならない、という厳しい条件である。
宇宙の時間スケールで見れば、ある文明は私たちが生まれるはるか昔に栄えて滅び去り、別の文明はまだ知的生命へと進化する途上にあるのかもしれない。夜の海で二隻の船がすれ違うように、宇宙の文明どうしもまた、互いの存在に気づかぬまま時間の彼方へと消えていく——そんな可能性が指摘されているのだ。
私たちが空に耳を澄ませているまさにその瞬間に、相手が「まだいない」か「もういない」のだとしたら。宇宙の沈黙は、孤独よりもむしろ、途方もないタイミングの悪さの産物なのかもしれない。
...もっと見る 宇宙が静まり返っていることは、そこに誰もいない証拠にはならない。彼らの信号は今この瞬間も、解読されないまま地球を素通りしているのかもしれない