そのとき、金縛りにあっていることにも気がついた。徐々に接近してくる。しかも毎晩訪れる。
7日目、ついに“それ”は馬乗りになって土屋さんの顔を覗き込んだ。人の形をした真っ黒な影の塊のようで、視線は感じたが顔はわからなかった。
10日目、“それ”は土屋さんの首を絞めはじめた。日増しに絞める力が強くなり、朝、喉に手の跡が残っていないのが不思議なほどだと思うようになった矢先、足音が聞こえはじめたときから数えて2週間目に、とうとう“それ”は刃物を持ってやってきた。
土屋さんに馬乗りになって腕を大きく振りかぶる――と、その瞬間、霧が晴れるように黒い影が薄らぎ、今まで隠れていた顔が露わになった。