若い頃の母親が運転する空飛ぶ車に乗り、ハーバード大学の建物へ何度も急降下を繰り返す夢だ。屋根にしがみつき迫る地面を見ながら、感じたのは恐怖ではなく強烈な高揚感だったという。
夢を覚えていることは滅多にないのに、これだけは残った。こんな内容はどこから来たのか。
彼が10年近く掲げてきた答えが「神経変換理論(NTT)」である。目は光を、耳は空気の圧力波を、皮膚は圧力や温度を神経信号に変える。人体は頭からつま先まで、情報を別の形式に変換するトランスデューサーだらけだ。
そこに彼が付け加えるのは一つ、脳そのものも別種の接続を行うトランスデューサーだという点だけだ。接続先を彼は「OS」と呼ぶ。Operating System(基本ソフト)とも、Other Side(向こう側)とも読める、意図的に二重の含みを持たせた名称である。高次元か、別の宇宙か。正体は分からないと彼自身が認めている