神話では現実の事象を抽象的に描いているケースもあり、ヤマタノオロチも何らかの現象を抽象的に表現している可能性がああります。
一般的には、ヤマタノオロチの正体は『斐伊川(ひいがわ)』だったのではないか?と言われています。斐伊川は現在も島根県と鳥取県を流れる実在の川です。
斐伊川はたくさんの支流ち、昔はよく氾濫する川として知られていたそうです。また斐伊川の上流では砂鉄が採れ、鉄分で赤くなる川でもありました。これらの特徴がヤマタノオロチの特徴といくつか一致しています。 『無数に枝分かれした支流』→『ヤマタノオロチの首と尻尾』 『鉄分で赤くなる川』→『ヤマタノオロチの赤い目と血の滲んだ腹』 『氾濫しやすい』→『洪水で娘を亡くした老夫婦』
また神話に中でも、 老夫婦には8人の娘がいたのですが、毎年ヤマタノオロチがやってきて1人ずつ食べられてしまい、残る娘は『クシナダヒメ』ただ一人。そして間もなくクシナダヒメを食べにヤマタノオロチがやってくる時期だったのです。 というように『毎年』や『時期』という表現があります。 上記はかなり簡略化したものですが、実際の神話上でも同様の表現があるため、川が氾濫する雨期に亡くなる人が絶えなかったのではないでしょうか。