差出人は一体誰なのか。ジョジーさんは地元の歴史愛好家が集うFacebookグループに投稿し、情報を求めた。すると、彼女が引っ越してくる前年に、この事件に関する本が出版されていたことがわかった。差出人は、事件を風化させたくない誰かなのかもしれない。
ジョジーさんは恐怖を感じつつも、この家の歴史の一部となった悲劇の少女に、次第に共感を寄せるようになる。「霊媒師を呼んだら?」という声もあったが、「何かを呼び覚ましたくない」と断ったという。
その代わり、彼女はアイリーンの写真を額に入れて部屋に飾ることにした。「もし彼女の魂がこの家にいるのなら、自分が忘れられていないとわかって、私たちに優しくしてくれるように、と思って」
アイリーン・マンロー殺害事件は、1920年の夏、彼女が一人で休暇に訪れていたイーストボーンの海岸で遺体で発見されたものだ。地元の若者2人が逮捕され、絞首刑となった。この事件は、同じ場所で4年後に起きた別の殺人事件と合わせて「クランブルズ殺人事件」として、今もイギリス犯罪史にその名を刻んでいる