この、倫理的に極めてデリケートな研究の最前線にいるのが、ワシントン大学の研究者、ムハンマド・アウラングゼブ・アフマド氏だ。彼は、患者のデジタルクローン、いわば「AI代理人(AI Surrogates)」を開発し、終末期医療の意思決定を補助させるという、野心的なプロジェクトを進めている。
現在、彼のモデルが分析しているのは、患者の負傷の重症度、病歴、過去の医療選択、そして人口統計情報といった、病院がすでに収集しているデータだ。これらの情報をAIに学習させ、過去のデータと照らし合わせることで、意識のない患者がどのような治療を望むかを予測する。
将来的には、患者が許可した医師との会話記録や、家族とのチャット履歴といったテキストデータも分析対象に加え、さらに理想的な形としては、患者が人生を通じてAIと対話し、自らの価値観の変化をAIに学習させ続けることで、モデルの精度を高めていくことを目指しているという