聖書によれば、ローマ兵たちはイエスを嘲るために、いばらの枝を編んで冠を作り、その頭にかぶせたとされる。しかし、その冠がどのような形をしていたのかについては、中世以来、神学者や科学者たちの間で議論が続いてきた。
 一つは、王冠のように頭の周りを囲むだけの、シンプルな「リース型(サークレット)」であるという説。もう一つは、頭部全体をすっぽりと覆う、「ヘルメット(キャップ)型」であったという説だ。ヘルメット型を支持する研究者たちは、聖骸布に見られる50箇所以上の刺し傷を根拠に、「単純な輪では、これほど広範囲の傷はつかない」と主張してきた