藤井聡太王座(23)が同学年の挑戦者、伊藤匠叡王(23)と2勝2敗で迎えた将棋の第73期王座戦5番勝負最終第5局が28日、甲府市「常磐ホテル」で行われた。対局は先手の伊藤が勝ち、対戦成績3勝2敗で王座を初めて獲得。タイトル獲得通算3期となり、九段に昇段した。藤井は6冠(竜王・名人・王位・棋聖・棋王・王将)に後退した。
2度あることは3度ある。負の歴史が繰り返された。常磐ホテルでは2021年(令3)8月3日の叡王戦第2局で豊島将之叡王(当時)と、昨年6月20日の叡王戦第5局で伊藤に敗れて2戦2敗。タイトルを初めて失い、7冠に後退した。しかも、その時と同じ○●●○同じ星取りで迎えて、またしても最終局を落とし、王座を失った
一昨年10月11日、王座戦を制して史上初の8冠全制覇を達成した以来254日で7冠となった。今回はそこから496日で6冠となった
伊藤の変幻自在な指し手に翻弄(ほんろう)された。開幕局こそ制したが、第2局は読みになかった手を指されて形成を損ねた。第3局は難解な終盤の寄せ合いで屈した。「対応力」が課題として残った
王座は失ったが、31日からの2日制で佐々木勇気八段に連勝している竜王戦7番勝負第3局(京都市「総本山仁和寺」)が控えている。11月12、13日には同第4局(京都市「京都競馬場」)もある。古都での連続開催となるが、京都府は、静岡県と並んで47都道府県でトップのタイトル戦8戦8勝と相性がいい。竜王戦5連覇と「永世竜王」獲得に向け、気持ちを切り替えて集中する