かつて冷戦時代にピークを迎えた核の脅威は、決して過去のものではない。核保有国間の緊張は再び高まり、事故や誤算によって、偶発的に核戦争が勃発するリスクは、むしろ増大していると博士は警告する。
そして、その被害は我々の想像を絶する。たとえ、100発程度の“限定的な”核戦争であったとしても、爆発によって巻き上げられた大量の塵や灰が大気圏を覆い、太陽光を遮断。地球は「核の冬」と呼ばれる氷河期に突入する。世界の食糧システムは完全に崩壊し、最初の2年間で、20億人もの人々が餓死すると予測されているのだ。現在、世界には1万2000発以上の核弾頭が存在する。その一部でも使用されれば、人類の絶滅は、ほぼ避けられないのかもしれない