菰野の隠し金山の起源:戦国時代と亡魂の伝説
菰野町は、三重県北部に位置し、鈴鹿山脈の麓に広がる自然豊かな地域だ。「隠し金山」の伝説は、戦国時代に遡るとされ、具体的な武将の名は不明だが、戦乱の中で財源を確保するために金鉱を隠したという話が起源とされている。一説には、織田信長やその家臣が関与した可能性も囁かれるが、史料に裏付けはない。金山を守る亡魂は、金を掘り当てた鉱夫や、それを守るために命を落とした武士の霊とされ、近づく者を幻覚で惑わし、立ち入りを阻むと伝えられている。地元の古老は、「昔は山で光るものを見た者がいたが、近づくと消えた」と語り、子供たちには「山で変なもの見ても入るな」と警告してきた。この口碑は、菰野の隠れた怪談として今も残っている。