当時、死刑囚の遺体は、医学教育のための貴重な“教材”だった。コーダーの遺体もまた解剖され、その骨格はサフォーク州の病院で見世物として展示された。さらに、彼の裁判記録をまとめた本は、彼自身の皮膚で装丁されたという、にわかには信じがたい記録も残っている。
しかし、本当の恐怖は、彼の「頭蓋骨」を巡って始まった。
伝説によれば、地元の医師であったキルナー博士が、ある日、このコーダーの頭蓋骨を病院から盗み出したという。当時流行していた「骨相学」(頭蓋骨の形状から犯罪者の性質を読み解こうとする学問)に魅了されていた彼は、殺人鬼の頭蓋骨を研究するため、それを黒檀の箱に入れ、自室に飾ったのだ。
その直後から、博士の家では不可解な現象が頻発する。
鈍いノックの音
廊下を歩き回る足音
...もっと見る押し殺したようなうめき声
闇から突き出す、青白い手
ある夜には、青いロングコートを着た男のシルエットが、博士の書斎の近くに佇んでいるのが目撃されたという。