バミューダトライアングルのミステリーを語る上で欠かせないのが、「フライト19」の事件だ。1945年12月5日、アメリカ海軍の雷撃機5機がフロリダから訓練飛行に出発したが、奇妙な無線交信を残して消息を絶った。パイロットたちは方向感覚を失い、「コンパスが狂っている」と訴え、救助に向かった飛行艇までもが二重遭難した。この事件は、この海域が「異次元への入り口」であるかのようなイメージを決定づけるきっかけとなった。
しかし、この海域に「バミューダトライアングル」という名が付けられたのは、意外にも後のことだ。1964年、作家のヴィンセント・ガディスが雑誌『Argosy』の記事で、フロリダ、プエルトリコ、バミューダを結ぶ三角形のエリアで起きる不可解な事件を特集し、「死のバミューダトライアングル」と名付けたのが始まりである。それ以前にも奇妙な噂はあったが、この命名によって世界的に知られるミステリースポットとしての地位を確立したのだ