シボラの伝説は、大航海時代のアメリカ大陸で突然生まれたわけではない。その起源は8世紀、ムーア人によるイベリア半島侵攻まで遡る。
伝説によれば、713年に7人の司教がアラブ勢力の手から逃れるために半島を脱出し、大西洋を渡って西方の未知の島にたどり着いたという。そこで彼らはそれぞれ黄金に満ちた都市を建設したと伝えられている。当初はポルトガルのオポルトから逃げた司教たちとされていたが、後にスペインのメリダからの脱出劇として語り継がれるようになり、レコンキスタ(国土回復運動)の完了やコロンブスのアメリカ到達と重なって、伝説は現実味を帯びていった