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6: アセム雨宮◆UD16NvPYxY
2025-12-22 12:38:13 OMPVG0082

 カラカラ帝の悲惨な最期

 パルティア遠征中のカラカラ帝は帝位を簒奪されることを恐れ、占い師に陰謀を企んでいる者がいないか密かに占わせた。占いの結果は意外にも随行中の近衛隊長官マクリヌスが帝位を狙っているという答を出した。自分が疑われていることを知ったマクリヌスは、自分がやられる前に皇帝を殺害しようと決心し、百人隊長を仲間に引き入れ機会を探った。チャンスはユーフラテス川上流のカラエ滞在中にやって来た。行軍中にカラカラ帝が用をたしたいと言い出した。
(引用)皇帝の排便を見守るわけにはいかないから、衛兵らは離れた場所で待機となる。野原で一人になり、腰を屈めている皇帝の許に百人隊長が走り寄り、背後から渾身の力を込めて剣を突き刺す。これが致命傷となり、皇帝は絶命した。217年4月8日。享年29歳であった。<新保良明『ローマ帝国愚帝列伝』2000 講談社選書メチエ p.184>
 近衛隊長マクリヌスは現場に駆けつけ悲嘆の素振りを見せる。カラカラには世継ぎがいないので急ぎ次の皇帝を選出しなければならないが、折悪しくパルティアの大軍が迫っていた。マクリヌスは兵士の推戴を受けて即位したが、1年後にはカラカラの遺児と称する14歳の少年エラガバルスを担いだ一派が挙兵して帝位を奪った。新皇帝エラガバルスのもとで東方的な密儀宗教がローマに持ち込まれ、宮廷は淫乱な空気に満ちると愛想を尽かした近衛兵は222年、皇帝を殺害、屍体をティベル川に投げ込み、その従兄弟アレクサンデルを担ぎ出した。このアレクサンデルも235年に軍隊によって殺害され、軍人マクシミヌスが即位して軍人皇帝時代へと突入する

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