子供たちが親にも話せない秘密を、AI(人工知能)に打ち明けている――。そんな不気味な実態が、イギリスで行われた最新の調査で明らかになった。 11歳から16歳の子供の約8割が日常生活でAIチャットボットを利用しており、そのうち3人に1人がAIを「友達」だと感じているというのだ。さらに衝撃的なのは、その子供たちの多くが、親や教師、現実の友人よりもAIを信頼しているという点だ
イギリスの通信大手ボーダフォンが行った調査によると、11歳から16歳の子供の81%がAIチャットボットを日常的に使用している。その中で31%がAIを「友達」と見なしており、悩み相談や不安の解消にAIを活用している実態が浮かび上がった。 具体的には、24%が困難な状況でのアドバイスを求め、20%が不安な気持ちを打ち明けている。子供たちがAIを信頼する理由は、「いつでも利用できる(51%)」「常にフレンドリー(37%)」といった利便性や態度の安定感にあるようだ
中には「人間に話すよりも安全だと感じる(17%)」という声もあり、友人や教師よりもAIへの相談を優先する子供が一定数存在している。日本でも、SNSでの誹謗中傷や同調圧力を恐れて本音を隠す若者は多いが、その「避難先」がAIという無機質なアルゴリズムになっている現状は、なんとも言えない切なさを感じさせる
児童心理学者のエリー・ハンソン博士は、この状況に警鐘を鳴らす。 「AIチャットボットが人間の共感や人格、繋がりを模倣する能力は、驚くほど高い。それが子供たちに『AIは友達だ』と錯覚させ、健全な社会性の発達を阻害しているのです」
子供たちが必要としているのは、お互いに譲り合い、経験を共有し、異なる視点を持つ「生身の人間との関係」だ。しかし、常に肯定し、決して裏切らないAIとの疑似関係に依存することで、現実の複雑な人間関係から逃避してしまうリスクがある。 さらに問題なのは、86%の子供がAIのアドバイスに従って行動しているという事実だ。AIが情報の正確性や偏りを完全に排除できない以上、子供たちが歪んだ情報に基づいて重大な決断を下してしまう可能性も否定できない
この事態を重く見たボーダフォンは、AIチャットボットの「中身」を分かりやすく解説するキャンペーンを開始した
面白いのはその手法だ。朝食のシリアルボックスを模したパッケージに、食品の成分表のような形式でAIの「原材料」を記載している。そこには砂糖や穀物の代わりに、AIを構成する技術的な要素が並ぶ一方で、「共感:0」「責任:0」といった「含まれていない成分」も明記されている。 AIはあくまでツールであり、心を持った友人ではない。それを視覚的に教えようというわけだ
一見すると、テクノロジーによって孤独が救われる素晴らしい未来のようにも思える。だが、子供たちが親の顔を見る代わりに画面の中のAIに秘密を囁き続ける光景は、なんとも言えない不気味さを漂わせている
AIはあなたの秘密を漏らさないかもしれないが、同時にあなたの痛みを本当の意味で分かち合うこともできないのだ。子供たちがAIと語り合う42分間(調査による平均利用時間)のうち、せめて数分でも「家族や友達と向き合う時間」に戻ってくることを願うばかりである