しかし、都市部から少し離れるとうっそうとした林の中に古い橋が見える。地元住民も日没後は近寄らないというこの橋は、「ロバ女の橋」の異名でテキサス南部を中心に知られる心霊スポットなのだ。名前だけ聞くと、どことなくコミカルに感じるかもしれないが、その由来をまずはご覧いただこう。
ロバ女と呼ばれる霊にまつわる言い伝えは、1800年代までさかのぼる。サンアントニオのダウンタウンから車で北へ30分程のエルムクリークという町に、貧しいながらも農業を営む4人家族が住んでいた。
ある日、周辺地域の地主のバカ息子が馬に乗り、家族の暮らす敷地内に侵入して家畜の動物に暴力を振るい始めた。夫が草原にいるはずのラバ(雄のロバと雌の馬の交雑種の家畜)の悲鳴を聞き駆けつけると、そこには無抵抗のラバに殴る蹴るなどの暴行を加える男の姿があったという。
一家の投げた石のいくつかが命中して男はその場から一旦は退散したが、その日の夜遅くに仲間を引き連れて戻り、家族の住む家に火をつけた。その結果、2人の子どもは生きたまま焼かれ、家族の主は銃殺され、妻も炎に焼かれて全身に火傷を負ったという。
激しく燃えさかる火の粉を浴びた彼女の顔は恐ろしく変形し、皮膚が溶けて垂れ下がった。手の指は激しい炎のせいで皮膚が溶け、ロバのひづめのように指同士がくっついた。女性は焼けてしまった家を後に、付近のエルム川の橋から身を投げたといわれている