「最後の審判」の一場面
(引用)この「最後の審判」のフレスコ画がほぼ出来上がったとき、それを見に行ったパウルス3世から意見を求められたヴァチカン宮殿の式典長ピァージョ・ダ・チェゼーナは、こんな性器を露出した裸体ばかりの絵は神聖な礼拝所にふさわしくないと非難した。それを聞いたミケランジェロは、地獄の番人ミノスの顔をこの式典長に似せて描いたというのである。異様な耳をしたミノスは全裸であるばかりでなく、大蛇に身体を縛られ、ペニスは蛇に喰いつかれている。ミケランジェロの陰惨なユーモアとしかいいようがない。(右図)<木下長宏『ミケランジェロ』2013 中公新書 p.134>
「最後の審判」に描かれているのは、従来の教会堂の宗教画からまったくかけ離れた、斬新で特異なものであった。賛否両論が湧き起こる中、圧倒的なスケールと筆力でそれは生き続けている。人によってはその絵の中に依頼主である教会への信仰と自己の心情との矛盾という、ミケランジェロの苦悩が色濃く表れている、と観察している