フリース人は、フリジア人ともフリーセン人とも言われるエスニック・グループで、オランダ北東部・ドイツ北西部・デンマーク南部の沿岸地帯に居住します。独自の言語フリース語を話し、その話者は約50万人いると見積もられています
フリース人が住むフリースラントの多くは湿地帯で、とても農業地帯とはいえなかったため、必然的に人々は交易や船乗りで生計を立てざるを得ませんでした
8世紀ごろにフランク王国に征服され、シャルルマーニュ以降は建前上はホラントの支配を受けることになりますが、数の上では絶対的な多数だったため、半ば独立した共和国を維持しました。ハプスブルグ帝国領となった後も公然と力を持っていましたが、1648年にフリースラントがネーデルラント連邦共和国に加入して以降、オランダ化・ドイツ化が進んでいくことになります
現在のフリース人の多くは、ドイツ語やオランダ語とフリース語の二ヶ国語を話し、場合によっては英語やフランス語など複数の言語を操るバイリンガルとして生きています。公教育でもフリース語は教えられ、教会や法廷でもフリース語は用いられてはいますが、フリース人がずっとフリースラントに住むわけではありませんし、言語の継承が懸念されます
政治的には、1962年創設のフリーシアン国民党という政党がありますが、フリースラント議会ですら10%前後の議席数と僅かな議席しか保有していません
特に政治的・経済的に抑圧されているというわけではありませんし、フリース人は普通のオランダ人やドイツ人として生きています。フリース文化を維持することがフリース人にとって負担になるような事態が起きてしまうと、文化の維持はますます困難になっていくに違いありません