30日 ボクシング トリプル世界戦(横浜BUNTAI) ボクシングのトリプル世界戦が30日、横浜BUNTAIで行われ、WBAバンタム級タイトル戦で同級2位・比嘉大吾(29)=志成=が王者アントニオ・バルガス(28)=米国=に判定0―0で引き分けて王座を逃し、試合後に引退を表明した
比嘉の目は涙でうるんだ。退路を断って上がったリングで12回を闘い抜いた。しかし、結果はまさかと言える2戦連続の世界戦引き分け。「自分の中で世界戦は(タイトルを取れなかったら)負け」と引退を宣言し、声を詰まらせた。
「野木さん(トレーナー)もそうだし、チーム、ファンのみなさん、沖縄のみんな。全てに感謝しますね。ここまで応援されると思っていなかった。みんなのおかげで楽しいボクシング人生でした」
逆転の一発を食った。4回に強烈な左フックでダウンを奪い、採点でわずかに上回って迎えた最終回。勝利を確実なものにしようと猛攻をかけたところでアッパーを合わされてダウンを喫する。立ち上がって試合終了を迎えたが、この一撃が採点に響きジャッジ3者がそろうドローとなった。
日本ボクシング史上初の3試合連続世界挑戦。昨年9月にWBO王者・武居由樹(大橋)に小差判定で敗れ、今年2月に現WBA休養王者・堤聖也(角海老宝石)に先制ダウンを奪いながら倒し返されてドローだった
「同じ過ちな感じですね。あそこでもらうのは自分らしいのかなと」。比嘉は寂しげに笑った。日本歴代最多タイの15連続KO勝利をマークしてWBCフライ級王座を獲得。体重超過から再起して3戦連続で熱戦を演じてファンを魅了した男がリングに別れを告げた