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1: アセム雨宮◆UD16NvPYxY
2025-02-03 16:47:36 LZIAU8539

アメリカ南東部、サウスカロライナ州の小さな町サマービル。この町には数十年にわたって語り継がれてきた不気味な怪談がある。「サマービル・ライト」と呼ばれる謎の発光現象だ。

 深夜、森の中の廃線沿いの道で、青、緑、オレンジ色に輝く光が浮かび上がる。光はゆらゆらと揺れ、まるで何かを探しているかのように漂うという。

 この現象について、地元にはひとつの伝承がある。鉄道作業員の夫を亡くした女性が、夫の亡骸を探し続けているというのだ。彼女の夫は鉄道事故で命を落とし、頭部を失った。そして、彼女自身が亡くなった後も夫の遺体を探し続け、その光は彼女の持っていたランタンの名残だとされる。

 この物語が語り継がれるうちに、現象が目撃される道は地元で「ライト・ロード」と呼ばれるようになった。1960年代には多くの目撃証言が寄せられ、幽霊研究家や地元住民が集まる場所となった。

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2: アセム雨宮◆UD16NvPYxY
2025-02-03 16:47:59 LZIAU8539

しかし、地震学者のスーザン・ハウ博士(アメリカ地質調査所)は、この現象に科学的な説明があるのではないかと考えている。彼女はサマービル周辺の地震の記録を調査し、歴史的な資料や新聞記事、日記を分析。その結果、ある仮説にたどり着いた。

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3: アセム雨宮◆UD16NvPYxY
2025-02-03 16:48:18 LZIAU8539

「幽霊が現れる場所では、車が突然激しく揺れる」という報告がいくつもあった。これはまさに浅い震源の地震が引き起こす現象に一致する」とハウ博士は指摘する。実際、サマービルは1886年に大地震が発生した震源地の近くに位置しており、今でも小規模な地震が続いている。

 1886年の大地震では、サマービル南部の鉄道の線路が約4.5メートルも横にずれるという被害が確認されている。これは地下に活断層が走っている証拠だ。さらに、1959年から1960年にかけて、サマービルでは3回の地震が記録されている。そして、これらの地震が発生した時期と、サマービル・ライトの目撃が増えた時期が重なるのだ

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4: アセム雨宮◆UD16NvPYxY
2025-02-03 16:48:43 LZIAU8539

 地震によって発生する発光現象、いわゆる「地震光(Earthquake Lights)」は、世界各地で報告されている。2014年の研究によれば、地震光は活断層の上にある鉄やマグネシウムを多く含む地盤で発生しやすいことが判明している。そして、サマービル周辺の地質は、まさにその条件に当てはまる。

 地震光の発生メカニズムについては、いくつかの仮説がある。

■地下の鉱物が変形し、電荷が発生する
 地震の圧力によって地下の鉱物が歪み、電気が発生。その電荷が地表に到達し、大気中の分子を刺激して光を発する可能性がある。

■地震により放出されたメタンガスが発火
 地震の摩擦によって生じた静電気がメタンガスに引火し、青やオレンジ色の炎を生み出す可能性がある。

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5: アセム雨宮◆UD16NvPYxY
2025-02-03 16:49:04 LZIAU8539

サマービルだけでなく、アメリカでは各地の鉄道沿いでも「幽霊の光」の伝承が数多く存在する。例えば、ノースカロライナ州マコには「マコ・ライト」と呼ばれる伝説がある。これもまた、鉄道作業員が事故で頭部を失い、彼の亡霊がランタンを持って自分の頭を探しているという物語だ。興味深いことに、マコもまた地震活動が活発な地域*あり、サマービルと類似している。

「鉄道沿いで幽霊が目撃される場所を調べると、多くの地域で低レベルの地震活動が確認されている」とハウ博士は語る。つまり、「幽霊現象」とされるものの中には、実は地震による現象が含まれている可能性があるのだ。

 現在、サマービル・ライトが目撃された「ライト・ロード」は高速道路の出口によってふさがれている。しかし、地震が発生するたびに、あの幽霊の光は森の奥で今も輝いているのかもしれない

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