その目玉のひとつが、1972年のアポロ16号ミッション後に開かれたとされる内部会議の録音だ。アポロ16号は同年4月16日から27日にかけて飛行し、ジョン・ヤング、チャールズ・デュークの両飛行士が人類で初めて月の起伏に富んだ高地を探査。トーマス・”ケン”・マッティングリーが月周回軌道に残るという布陣で進められた、宇宙開発史に残るミッションである。
問題の音声に収められていたのは、月で観測された不可解なデータをめぐる議論だった。重力の異常な数値、レーザーによる測定、そして月の裏側で検出されたという説明のつかない複数の異常。話の焦点となったのは、磁気的・地球化学的に特異な地形として知られるファン・デ・グラーフ・クレーター付近にあるという「巨大な穴」だ。そして会話の中で、ある参加者がこう口にしたとされる——それは宇宙人のスターベース(恒星間基地)か何かかもしれない、と。その直後、話題は何事もなかったかのように月の表側のスライドへと移っていったという